なんでもいいから仕事が欲しい

幼馴染のあかりが最近、長く付き合っていた彼氏と別れた。ちょっと前に駅前の本屋で会って立ち話をした時にも、彼氏とうまくいっていないと聞いていたのだが、長い付き合いだったのでどうせ元サヤに納まるだろうと思っていた。しかしわざわざLINEで報告してきたところを見ると、本当に別れたのだろう。そうなると俺も暇人をやっている場合ではない。何を隠そう俺は、もう14年間もあかりに片想いしている。初めて会った時に一目ぼれして以来、ずっと一途にあかりだけを想ってきた。やっとチャンスがまわってきたのだ。

あかりは顔だけじゃなく性格もいい。男女ともに友人が多い。成人式を済ませた頃くらいから更に綺麗になって、俺じゃなくても昔の仲間たちで、あかりの魅力に気が付き始めた奴もいるようだった。だからのんびりはしていられない。誰かに彼女を取られる前に、俺の彼女に絶対にするのだ。幸い俺とあかりは幼馴染で他の奴らより親しい。まずはただの地元の友達から、男として認識してもらわなければならない。

ところが俺は現在無職だった。先日彼女と会った駅前の本屋にも、親の手前仕事を探すフリをしなければならなかったので、アルバイト情報誌を買いに行っていたのだ。もちろんあれ以降アルバイトなんて見つかっていないし、自宅でニコ動を見る日々だったが、彼女を振り向かせるためにはアルバイトなんかじゃダメだ。きちんと就職。立派な社会人にならなければOLのあかりとも釣り合わないだろう。とりあえず仕事。なんでもいいから仕事が欲しい。世間並みの学歴も無駄にするほどのニート期間があるが、とにかくこんな俺にも就ける仕事。就職して彼女に告白できる男になるのだ。